所属学会・研究会
日本哺乳類学会:1976年より会員,「哺乳類科学」編集委員会(委員長),奨励賞選考委員会(委員長),哺乳類保護管理専門委員会(委員長),外来動物対策作業部会(部会員),レッドデータ作業部会(部会員),IWMC2015実行委員会(委員),大会実行委員会(委員),2021年度日本哺乳類学会特別賞,森林総合研究所令和7年度(2025年度)理事長賞「奄美大島における外来種フイリマングース根絶成功への貢献」(功労者の一員).
日本生態学会,日本森林学会,「野生生物と社会」学会 ,沖縄生物学会,World Lagomorph Society (会員), American Society of Mammalogists(会員)
森林野生動物研究会(幹事)
外来ネコ問題研究会(会長)
島嶼生物多様性保全ネットワーク(代表)
各種委員
環境省広島県大久野島検討委員会(委員)
東京動物園協会検討委員会(委員)
ミュージアムパーク茨城県自然博物館・助言者会議(委員)・資料評価委員会(委員)
IUCN, SSC, Lagomorph Specialist Group(LSG), Invasive Species Specialist Group(ISSG)など(委員)
一般社団法人全国森林レクリエーション協会森林インストラクター養成講習(講師)
鹿児島県大和村アマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)設置検討委員会(委員)
林野庁ノウサギ被害対検討委員会(2021-2023年,委員長)
ほか
・Business Insider Japan https://www.businessinsider.jp/
時速80キロで飛び跳ねる。大きな耳の意外な役割…「卯年」に知りたいウサギの秘密.三ツ村 崇志 [編集部].Jan. 01, 2023, 10:50 AM サイエンスhttps://www.businessinsider.jp/post-263881
・週間プレイボーイ https://wpb.shueisha.co.jp/
・読売新聞科学部 https://www.yomiuri.co.jp/science
・しんぶん赤旗 https://www.jcp.or.jp/akahata/
・読売新聞KODOMO https://kodomo.yomiuri.co.jp/
・NHKEテレ「なりきり!むーにゃん生きもの学園」1月7日(土)午前7:20 https://www.nhk.jp/p/munyan/ts/Y513MJX4Q8/
・NHK総合「ダーウィンが来た」2023年1月8日19:30 https://www.nhk.jp/p/darwin/ts/8M52YNKXZ4/schedule/
お正月特集 激レア!?日本のウサギ大捜索
2023年1月8日(日)夜7:30-7:58 NHK総合
概要:今年の干支はウサギ!実はウサギは世界各地で大繁栄している。その秘密は、代名詞ともいえる長い耳と自慢の走り、そのほか数々の生存戦略でたくましく生き抜いている。しかし、日本では童謡や昔話にも登場するニホンノウサギがここ数十年で減少。激レアな姿を求めて取材班が大捜索!すると、意外にもノウサギは数年前から増え始めていることが分かってきた。一体なぜ?日本の森とノウサギの知られざる関係に迫る。
・南日本新聞社 https://373news.com/
・中日新聞こどもウィークリーhttps://static.chunichi.co.jp/chunichi/pages/info/kodomo_weekly/
・毎日新聞 https://mainichi.jp/
・「日本の学童ほいく」2022年12月号http://www.toshima.ne.jp/gakuho/hoiku.html
・「小学図書館ニュース」2023年1月8日号https://www.schoolpress.co.jp/photo-news/shouto
・共同通信 https://www.kyodonews.jp/
・みんなの徳之島元気テレビ「世界一受けたい授業 ウサギ博士・山田文雄先生の徳之島学」(2023年1月20日収録)https://www.youtube.com/watch?v=nGVVxx7cPDo
約1時間のインタビューのYouTube動画がご覧になれます.内容は,ウサギ研究の開始,奄美大島・徳之島のアマミノクロウサギ,外来種(マングース,ノネコ),感染症問題などです.
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テレビ
日本テレビ 番組名「情報カルチャー局「スッキリ!!」」「広島県大久野島の野生化アナウサギについて」2019年6月15日
テレビ朝日超人女子戦士ガリベンガーV「ウサギの謎を解明せよ!」2020年1月23日
テレビ朝日超人女子戦士ガリベンガーV第47話「身近な生き物を学ぼうスペシャル」 2020年4月23日
日本テレビ:所さんの目がテン「ノウサギについて」2020年8月9日
NHK「ダーウィンが来た!エゾユキウサギ 2021年1月17日
NHK BPS「テントを背負って」2021年02月12日
日本テレビ「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」2021年2月26日
NHK「ダーウィンが来た」お正月特集激レア!?日本のウサギ特集2023年1月8日
TBSテレビNスタ「【猫の日】だからこそ考えたい「かわいいだけではないネコの側面」2023年2月22日(水) 06:00
NHK総合テレビさわやか自然百景「金剛山 秋」2023年11月26日(日)07:45-07:59
NHK特集ドラマ「ダーウィンが行く?!」2024年8月20日
ラジオ
NHKラジオ第一「先読み!夕方ニュース」シリーズ「奄美・沖縄 世界自然遺産とネコ問題」2017年10月16日-19日
ほか
新聞
中国新聞「ウサギ島でウサギ半減ー広島県大久野島野生化カイウサギの生息変化 」2021年3月12日
ほか
「奄美沖縄世界自然遺産登録と生態系保全と人」山田文雄2022年10月27日(主催 北海道大学大学院理学研究院生物科学部門(黒岩麻里研究室にて))
「大陸から島で生き残ったアマミノクロウサギの生態と保全の今後」山田文雄 in 「アマミノクロウサギシンポジウム」2022年12月10日 (主催 (奄美大島)鹿児島県大和村)
1.アマミノクロウサギの穴 (奄美群島国立公園管理事務所・鈴木真理子氏)
2.大陸から島で生き残ったアマミノクロウサギの生態と保全の今後(沖縄大学客員教授・山田文雄氏)
3.農業被害を防ぎ、アマミノクロウサギと共に暮らす~侵入防止柵による棲み分け~
(鹿児島大学准教授・高山耕二氏)
4.アマミノクロウサギの傷病保護と飼育(鹿児島市平川動物公園学芸員・落合晋作氏)
5.ロードキルを防ぎたい!アマミノクロウサギの視力を考える(東京農工大学教授・田中あかね氏)
6.アマミノクロウサギ新たなる生態発見についてフィールドからの報告(写真家・浜田太氏)
日本モンキーセンター主催 卯年講演会「野生のウサギの知られざる生活」山田文雄 2023年1月8日
熊本県産山村『歴史でふりかえる ノウサギと人間の関係 ウサギ博士・山田文雄先生に聞く「大草原のウサギ追い」の意義とこれから」』2023年7月19日(主催「NPO法人産山守り人の会」)
岐阜県立岐阜高校主催 職業・学問体験プログラム 「ウサギの生態から野生生物の保護を考える」山田文雄 2023年9月29日
徳之島天城町主催「貝塚人とクロウサギ」2023年11月16日
1.趣旨説明 ナビゲーター 岡崎 幹人
2.講演① 「奇跡!? 生き残ったアマミノクロウサギ」
山田 文雄(沖縄大学客員教授・地域研究所特別研究員)
3.講演②「奇跡の島々と貝塚人」
高宮 広土(鹿児島大学国際島嶼教育研究センター 教授
4.パネルディスカッション ナビゲーター:岡崎幹人
パネリスト:高宮広土、山田文雄、院田裕一(天城町教育長)、崎村倫太郎(中学生代表)
新聞記事「下原洞穴遺跡」への理解深める 「貝塚人とクロウサギ」講演会 天城町(南海日日新聞2023年11月17日)
https://www.nankainn.com/news/local/%E3%80%8C%E4%B8%8B%E5%8E%9F%E6%B4%9E%E7%A9%B4%E9%81%BA%E8%B7%A1%E3%80%8D%E3%81%B8%E3%81%AE%E7%90%86%E8%A7%A3%E6%B7%B1%E3%82%81%E3%82%8B%E3%80%80%E3%80%8C%E8%B2%9D%E5%A1%9A%E4%BA%BA%E3%81%A8%E3%82%AF
新聞記事「貝塚人とクロウサギ」講演会 天城町(奄美新聞2023年11月16日)https://amamishimbun.co.jp/2023/11/16/47199/
「人と自然の共生 奄美大島の地から,これからの生き方を考えよう」山田文雄 2024年3月29日 昭和女子大学付属小学校アマクロマ守ろうプロジェクト主催 in 奄美大島(環境省奄美野生生物保護センターにて)
「アマミノクロウサギと私」山田文雄 2024年8月14日アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru名称お披露目・名誉館長任命 記念講演会.主催大和村役場(奄美大島大和村防災センター)
新聞記事「アマミノクロウサギ研究飼育施設名は「QuruGuru」大和村」(南海日日新聞2024年8月15日)
新聞記事「くるぐる(QuruGuru)」に決定 来春オープン アマミノクロウサギミュージアム 名誉館長に〝ウサギ博士〟任命 鹿児島県・大和村」奄美新聞2024年8月15日
新聞記事「アマミノクロウサギと自然遺産奄美の魅力「くるぐる」から世界へ発信 来春開設の研究拠点銘板をお披露目 大和村」南日本新聞2024年8月14日
新聞記事「アマミノクロウサギの研究施設「くるぐる」来春オープン」産経新聞2024年8月16日
アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru開所式
2025年4月20日(奄美大島,大和村)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9925d9832cd5827db12c19b93e8d0a02eb7feeed
奄美新聞社「「くるぐる」がオープン」2025/04/21
https://amamishimbun.co.jp/2025/04/21/55728/
南海日日新聞社「クロウサギ守り次世代に 研究飼育施設「QuruGuru」開所 大和村」2025/04/21
鹿児島県
https://www.pref.kagoshima.jp/chiji/ugoki/2504/250420.html
https://www.youtube.com/watch?v=bYeiO2Mmjrs
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20250420/5050030441.html
国の特別天然記念物、アマミノクロウサギの飼育や展示、研究などを行う施設が20日、奄美大島の大和村にオープンしました。
「QuruGuru(くるぐる)」と名付けられたこの施設は、大和村が8億円あまりをかけて建設し、20日、関係者およそ90人が出席して開所式が行われました。
施設は獣医師1人が常駐し、交通事故などでけがをしたアマミノクロウサギを保護して治療やリハビリを行いながら、自然と人との共生に向けて展示も行います。
このうち屋内の飼育室では、夜行性のクロウサギに配慮して照明で昼夜を逆転させていて、生息環境を忠実に再現するため、険しい山の斜面や体を休めるための人工の巣穴が設置されています。
巣穴にはカメラを取り付け、巣穴で過ごす様子が観察できるようになっていて、施設によりますと、世界で初めての試みで、まだ明らかになっていない生態の研究も行われる予定だということです。
このほか、夜の森を表現した展示室では、車にひかれそうになる様子などを再現した映像が流され、野生で暮らすうえで抱える身近な危険を学ぶことができます。
オープンには、県内外から抽せんで選ばれた75人が訪れ、餌を食べる様子や伸びをするような様子を間近で観察するなどして楽しんでいました。
奄美市から訪れた女性は、「思ったより近くで見られてびっくりした。長年、奄美に住んでいるが、クロウサギは謎が多かったので勉強になったし、大切にしていかないといけないと思った」と話していました。
「QuruGuru」の山田文雄 名誉館長は、「生きたクロウサギを見られて日々どんな生活をしているのかわかる点が最大の魅力だ。自然を楽しんでもらいつつ、この施設でもより詳しく学んでほしい」と話していました。
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日本哺乳類学会2025年大会 ポスター発表
2025年8月22〜25日 酪農学園大学・札幌教育文化会館
「奄美の自然と人の共生を考えるシンポジウム」
アマミノクロウサギミュージアムQuru Guruの開所を記念してシンポジウムを開催します
https://www.vill.yamato.lg.jp/quruguru/event/r7-simposium.html
日時
令和7年9月14日(日曜日)
午後1時30分から午後4時(午後1時開場)
場所
大和村防災センター2階研修室
参加費
無料(定員100名)
参加申込期限
令和7年9月10日(水曜日)
参加申込方法
申込フォーム(外部サイトへリンク)からお申込みいただくか、企画観光課(TEL0997-57-2117)までご連絡ください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdgEDIIUYLOZsw0crvoNLyYeBVAOuAglOrobhBxRudyGc5i1w/viewform
登壇者
• アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru山田文雄名誉館⻑
• アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru豊田英人獣医師
• 平川動物公園福守朗園⻑
• 東京農工大学田中あかね教授
• 東京農工大学岩井紀子准教授
• 麻布大学江口祐輔教授
• 環境省奄美野生生物保護センター
チラシ
https://www.vill.yamato.lg.jp/kikaku/kurashi/kankyo/shizenkankyo/documents/symposiumchirashi.pdf
以上です.
「野生生物と社会」学会大会 2025年度(早稲田大学・東京)2025年12月20日09:30-11:00
https://sites.google.com/view/awhs2025
テーマセッションTS-01
野外のイエネコの問題:対策の進展と人獣共通感染症・適正飼養管理の課題
The problem of outdoor domestic cats: progress in control measures and the challenges of zoonotic diseases, responsible ownership and proper care
山田文雄 Fumio Yamada
1.テーマセッション趣旨
ペットとして身近な存在のイエネコ Felis catus(以下ネコという)は、全国で 915 万頭が飼育され、
近年増加傾向にある。一方、高いハンティング能力をもつイエネコが野外で自由に行動すると、在来野
生生物への捕食や感染症などの問題を起こす。このため、イエネコは「最も身近な外来哺乳類」と呼ばれ
る。特に島嶼の場合、在来種の減少や絶滅といった生物多様性の危機的事態にまで発展する事例が、国
内外で知られている。
わが国においても生態系保全におけるイエネコ対策の必要性が求められており、特に島嶼で取り組ま
れつつある.しかし、異なる行政単位,対策実施体制、社会的背景などのために、各島の対策関係者の交
流や情報の共有化は極めて少なく、研究者を介した交流がある程度である。そこで本企画では,情報の
共有と意見交換の場となり,また効果的で効率的な対策になるように、またイエネコ管理の常識化につ
ながることを期待して開催する。
本テーマセッションでは、野外のイエネコの対策が実施されているいくつかの島嶼の中から、特に鹿
児島県の奄美大島における進捗を取り上げ、対策の現状や成果を紹介する.また全国に近年拡大しつつ
ある人獣共通感染症の問題,そして適正飼養管理の必要性や課題について講演する.
2.講演者と講演タイトル
・小椋崇弘・塩野﨑和美・釣谷洋輔(奄美自然環境研究センター)
「奄美大島の森林域と集落農耕地における取り組みと成果」
・亘悠哉(森林総合研究所)
「人獣共通感染症リスクと屋外ネコ: 室内飼育の必要性」
・伊藤圭子(奄美大島いんまや動物病院)
「適正飼養の必要性と実例」
・環境省
コメント
・質問討議
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TS01-01「奄美大島の森林域と集落農耕地における取り組みと成果」
小椋崇弘(奄美自然環境研究センター)・塩野﨑和美(奄美自然環境研究センター)・釣谷洋輔(奄美自然環境研究センター)
2018 年 3 月に環境省と鹿児島県、奄美大島 5 市町村で策定された「奄美大島における生態系保全のた
めのノネコ管理計画」に基づき、環境省では 2018 年 7 月より奄美大島における森林域でのノネコの捕獲
を開始した。その後作成されたロードマップでは、管理計画の最終年度である 2027 年度までに奄美大島
全域においてノネコの個体数を低密度化させることを目標としている。集落においては、2013 年よりノ
ネコの発生源対策を目的に、5 市町村によってノラネコ対策(TNR による不妊化)が実施されている。
2023 年 4 月以降は対策エリアを農耕地に広げ、自動撮影カメラを用いたノラネコの生息調査と TNR に
よる発生源対策が実施され、より全域的なネコ対策が遂行される状況となった。本発表では、7 年間にお
ける森林域でのノネコ捕獲事業と 12 年間における集落・農耕地での発生源対策の取り組みと結果、およ
び今後の課題について報告する。※本発表は、環境省請負業務である奄美大島生態系維持・回復等業務
および奄美大島ねこ対策協議会請負業務である奄美大島ノラネコ対策事業の成果を使用した。
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TS01-02 人獣共通感染症リスクと屋外ネコ: 室内飼育の必要性
亘 悠哉(森林総合研究所)
屋外にネコを野放しにしていることで生じる問題は,在来種,ネコの福祉,そして人の well-being への
影響と多岐にわたる.近年,これらの影響の全てに人獣共通感染症が関与していることが明らかになっ
てきた.本講演では,SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とトキソプラズマを事例として最近の知見に
ついて整理する.SFTS は,マダニ媒介性感染症であり,マダニと野生動物の間で感染サイクルが成立し
ている.人の感染致死率は 27%,ネコは 62.5%と両者とも極めて高い.さらに,ネコから人へのマダニを
介さない接触による直接的な感染ルートも確認されており,ネコ,人,そしてネコと人の関係性にも大
きな影響を及ぼしている.トキソプラズマはネコ由来人獣共通感染症で,温血動物を中間宿主として感
染サイクルが成立している.妊婦が初めて感染した場合の流産や胎児への重篤な影響のほか,野生動物
への致死的影響も報告されている.野外での感染リスクが特に高まるのは,屋外ネコと中間宿主の密度
がともに高い場合で,これはネズミ対策にネコを使おうとする状況が当てはまる.人獣共通感染症リス
ク低減の観点からもネコの室内飼育は必要である.
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TS01-03 適正飼養の必要性と実例
伊藤圭子(奄美いんまや動物病院)
2011 年から奄美大島で開始された「飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例(ネコ条例)」と、2018
年より開始された「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」では、ノネコの発生源対策と
して、飼い猫の適正飼養やノラネコの増加抑制等の取組を推進すると明記されている。飼い猫の飼養者
やノラネコの餌やりへの意識改革は欠かせない。演者は 2013 年より奄美大島に移住し、2019 年より個人
開業をしている。診療時でも意識的に飼育の啓発や出入り自由ネコの飼育者に対しては適切な室内飼育
への移行のアドバイスを行い、ノラネコ TNR や捕獲ノネコの引き取り譲渡も行っている。これまでの経
験から、事業遂行には研究者のデータ、行政の意欲、地元団体の認識、動物病院の意識の 4 つがうまく連
携することで事業はスムースになる。一方で齟齬が生じてしまうこともある。演者は奄美大島と並行し
喜界島での小動物診療及び TNR を行っているが、ネコ条例がなく希少種のいない島のためネコ問題への
意識は高いとは言えないが、地元団体立ち上げの協力や継続したアドバイス、行政との連携などが進む
ことで、多頭飼育の減少や農家へのネコ対策など順調に進んでいる実感がある。
===================
第10回山岳科学学術集会・第29回「野生生物と社会」学会合同大会
(静岡大学静岡キャンパス,静岡市)2024年12月14日09:30-11:00
https://www.wildlife-humansociety.org/taikai/2024/taikai2024.html
TS–01
生物多様性保全上重要な島嶼における野外イエネコ対策の最新の状況
Current status of managing free-ranging cats on important biodiversity-conservation islands
山田文雄
Fumio Yamada
1.テーマセッション趣旨
ペットとして身近な存在であるイエネコ Felis catus(以下ネコという)は、全国で約 900 万頭
が飼育されている。一方、高いハンティング能力をもつネコが適切に飼育されず野外で行動する
と、在来野生生物の捕食や感染症などに関わる問題が起きる。このため、ネコは「最も身近な外
来哺乳類」と呼ばれる。特に島嶼の場合、在来種の減少や絶滅といった生物多様性の危機的事態
にまで発展する事例が国内外で知られている。
わが国においても生態系保全におけるネコ対策の必要性が高まっており、取り組みが行われ
つつある島嶼も増えている.しかし、自然生態系だけでなく、行政単位や対策の実施体制、社会
的背景などが異なるなかで、各島の関係者の交流や対策等に関する情報の共有化は極めて少な
く、研究者を介した動きがある程度である。
本テーマセッションでは、野外ネコ対策が実施されているいくつかの島嶼の中から、特に奄美
大島と御蔵島を取り上げ、対策に取組む実務者や研究者が、対策の現状と課題を紹介し、情報の
共有と意見交換を行う機会として企画する。本セッションが、効果的で効率的な対策の推進に役
立つことを期待する。
2.講演者と講演タイトル
・塩野﨑和美(奄美自然環境研究センター)
「奄美大島の集落農耕地におけるネコ対策」
・小椋崇弘・塩野﨑和美(奄美自然環境研究センター)・鈴木魁士(東大)・釣谷洋輔(環境省奄
美群島国立公園管理事務所)
「奄美大島におけるノネコの糞分析結果と捕食写真からみる在来種への影響」
・亘 悠哉(森林総合研究所)・徳吉美国(東大)・野瀬紹未(北大)・葉山久世(かながわ野生
動物サポートネットワーク)・岡 奈理子(山階鳥研)
「御蔵島における野生化ネコ捕獲プロジェクトの概要と課題」
・石井信夫(東京女子大学)・佐々木哲朗(小笠原自然文化研究所)
「野外ネコ対策の課題と展望」
・討論
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TS-01-1 奄美大島の集落農耕地におけるネコ対策
塩野﨑 和美(奄美自然環境研究センター)
奄美大島では生態系保全を目的としたネコ管理の一環として、発生源対策を目的に集落にお
けるノラネコの不妊化(TNR)を 2013 年より実施し、2024 年 3 月末までに 5000 頭を超えるネ
コが不妊化された。ノラネコの多くが人にエサを依存していると考えられることから、対策は主
に集落内の居住区エリアにおいて実施されてきた。また山域においては 2018 年よりノネコ捕獲
が実施されているが、集落内で不妊化されたネコが捕獲されるケースが後を絶たず、集落と山域
を行き来するネコの存在が明らかとなっている。 一方、奄美大島では集落と山域に挟まれる形
で農地が分布しており、住⺠情報などから農地におけるネコの存在は明らかであった。そのため
ネコ対策の必要性は認識されていたが、生息状況把握の困難さなどから⻑年ネコ対策の空⽩地
帯となっていた。2023 年 4 月以降、自動撮影カメラの導入により農地でのネコの生息調査と不
妊化による農地におけるネコの発生源対策が実施され、より全域的なネコ対策が奄美大島では
展開される状況となった。本発表では、2023 年 4 月〜2024 年 3 月における農地でのネコの生息
調査の結果および対策について報告する。
TS-01-2奄美大島におけるノネコの糞分析結果と捕食写真からみる在来種への影響
小椋崇弘(株式会社奄美自然環境研究センター)・塩野﨑和美(株式会社奄美自然環境研究センター)・鈴木魁士(東京大学)・釣谷洋輔(環境省奄美群島国立公園管理事務所)
2018 年 3 月に環境省と鹿児島県、奄美大島 5 市町村で策定された「奄美大島における生態系
保全のためのノネコ管理計画」に基づき、環境省は 2018 年 7 月より山中におけるネコの捕獲を
開始した。管理計画は 2027 年度までの 10 年計画で、希少種生息域からのノネコの捕獲排除とし
ては、奄美大島全域においてノネコの個体数を低密度化させることを目標としている。この事業
では、ノネコ及び在来種のモニタリングのため、林道に夜間カラー撮影が可能なセンサーカメラ
を設置し、撮影されたノネコについて、毛色・模様・撮影地点などから可能な限り個体識別を行
っている。識別した個体ごとの撮影地点、繁殖や捕食状況などノネコの動態を把握しながら捕獲
を実施しているが、他の外来種対策と同様に、いかに繁殖可能なメスを捕獲するかが重要である。
本発表では、捕獲事業開始から 6 年間の結果の概要を述べるとともに、山中において捕獲された
ノネコの糞分析結果及びセンサーカメラで撮影されたノネコによる捕食写真の分析結果から在
来種への影響を示し、今後の課題について検討した。 ※本発表は、環境省請負業務である奄美
大島生態系維持・回復等業務の成果を使用した。
TS-01-3御蔵島における野生化ネコ捕獲プロジェクトの概要と課題
亘 悠哉(森林総研)・徳吉美国(東大)・野瀬紹未(北大)・葉山久世(かながわ野生動物サポートネットワーク)・
松山侑樹(東大)・岡 奈理子(山階鳥研)
伊豆諸島の御蔵島(20.5 km2)は,東アジア地域で繁殖し,IUCN が準絶滅危惧種に指定するオ
オミズナギドリの最大規模繁殖地であるが,同島で野生化するイエネコが本種を最低でも 34,980
羽/年,捕食していると推定されるなど,本種の繁殖集団の脅威となっている. 御蔵島では,
従来から御蔵島村や有志により TNR や捕獲個体の島外搬出が行われてきたが,イエネコ生息数
の抑制効果が得られない状況が続いた.そこで我々は 2021 年度に野生化イエネコの根絶までの
道筋を提示する「御蔵島野生化ネコ捕獲プロジェクト」を開始した. 初年度でコロナ禍だった
2021 年度は試験捕獲と位置づけ 52 頭を捕獲し,体制やオペレーション全体を確認した.翌年度
以降,本捕獲として捕獲努力量を増やし,2022 年度に 106 頭,2023 年度は 93 頭を捕獲した.年
度ごとに残存個体の推定数は減少傾向にあり,得た知見に基づき翌年の捕獲作業を改善してい
る.本講演では,根絶を目指した本プロジェクトの概要と進捗について紹介し今後の課題につい
て議論する.
TS-01-4野外ネコ対策の課題と展望
石井信夫(東京女子大学)・佐々木哲朗(小笠原自然文化研究所)
国内の生物多様性保全上重要な島嶼における野外ネコ対策を比較した。対策の対象は①野外
で自活するノネコと②ノネコの発生源(飼いネコ、ノラネコ)とに区分した。ノネコ対策は捕獲
による野外からの排除が中心だが、捕獲後の殺処分回避のために主として譲渡が行われている。
しかし、譲渡が進まないことから捕獲排除が制限される事例がある。飼いネコ対策としては、条
令等に基づく管理によってノラネコ化、ノネコ化の防止が図られているが、条例が定める義務の
違反、室内飼育の不徹底等が問題である。ノラネコ対策では、法制度や体制の不備、殺処分とそ
れに伴う批判回避のために、主として TNR による個体数削減が図られているものの、効果が明
確な事例は少ない。全般に、人口が少ない島では、ノネコ及びその発生源となるネコの個体数が
少ないため、ノネコ対策や発生源対策が効果を上げている事例がある一方、人口が多い島では、
ノネコ及びその発生源となるネコの個体数が多く、課題が多い。また、ノネコ及び発生源の管理
計画を欠くなど対策が計画的に進められていない、対策に責任をもつ主体が不明確、効果の評価
やそれを行う体制がないなどの問題を抱えている島も多い。
====================
第27回「野生生物と社会」学会大会 酪農学園大学(北海道江別市)2022年10月29日(土)
https://www.wildlife-humansociety.org/taikai/2022/taikai2022-2.html
TS06: 生物多様性保全地域の島嶼における外来イエネコの捕獲対策の現状と課題(山田文雄)
奄美大島のマングース根絶達成にかかる環境省への感謝状の贈呈
2025年12月19日に,奄美大島のマングース根絶達成の世界的偉業を成し遂げた環境省へ,感謝状の贈呈を行った.
日時:2025年12月19日 13:30~13:45
場所:環境省大臣室
列席者(受取側)
環境大臣:石原宏高 様
環境省自然環境局長:堀上勝 様
環境省自然環境局野生生物課長:川越久史 様
環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室長:中島治美 様
贈呈側
日本哺乳類学会理事長:本川雅治
日本哺乳類学会理事 外来動物対策作業部会長:亘悠哉
日本哺乳類学会監事 哺乳類保護管理保護管理専門委員会元委員長:山田文雄
本川理事長より感謝状の読み上げがあり,石原環境大臣に贈呈を行った.その後の歓談では,哺乳類学会より奄美大島におけるマングース根絶までの様々な経緯を振り返り,世界的偉業を成し遂げた事業に対して改めて感謝を伝えた.石原大臣からは,環境省の歴代担当者の尽力や奄美マングースバスターズの献身についての労いがあり,事業推進における日本哺乳類学会の貢献についての言及もあった.最後に,奄美大島のマングース根絶の成果や教訓を,今後の外来種対策に生かしていくことの重要性を共有した.
感謝状贈呈の様子(環境省HP)
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